ほんの少し前までは、マイホーム=新築が当然でした。住宅に限らず日本には「古い=悪い」という偏ったイメージがあったようで、たとえばファッションも、かつては「古着なんて」と思っている人はたくさんいました。しかし今では、古着はすっかりヴィンテージとして定着し、使い込んできたその色や質感こそが “味わい” になると考える人が増えてきました。
そんな中、新しいマイホームのカタチとして「リノベーション」が注目されています。リノベーションとは、マンションや戸建などの既存の住宅の魅力を活かしつつ改修・増築することにより、理想の住まいを手に入れることができる、新しい家づくりのスタイルです。
とてもよく耳にする質問です。確かにどちらも、古くなった家やマンションの設備を改修することなので、わかりづらいですよね。簡単に整理すると、「リフォーム(Re+Form)」は時が経って古くなったもの、汚れてしまったものを修繕するか新しく取り替えて、性能や機能を回復させること。
では「リノベーション(Re+Innovation)」とは何かというと、リフォームに「暮らす人の意思」 をプラスして、全く新しい価値を生み出すことと考えて良いでしょう。
リノベーションには住まいへの想いやこだわりが強く反映されます。大胆や間取りや水回りの配置変更などはもちろんのこと、ドアノブを味わいのあるアンティーク風にしたり、照明のスイッチプレートをレトロなアメリカン調のものに取り替えてみたりと、細部にまで徹底してこだわる人も多くいます。
それに替えたからといって使い勝手が良くなるとは限りません。でも、「新しければいい」ではなく、「それが好き」だから、自分らしいワンアイテムを選んでいるのです。だからこそ、リノベーションは空間全体に統一感が生まれ、マイホームの個性がしっかりと表現できるのです。
「物件価格」に「リノベーション費用」を足したトータル金額で比較しても、リノベーションは新築物件を購入するよりも20~30%くらいは安くなるのが一般的です。でも、リノベーションの素晴らしさはお金だけではありません。特筆すべきは、何よりもその「自由度」にあると言ってよいでしょう。
まず、エリア選択。住みたいと思う場所に物件があるとは限らない新築に対して、中古物件なら「昨日まではなかったけれど、今日になって希望の場所に物件が出てきた」ということがあります。エリアを軸にした家探しは、新築よりも中古物件の方が圧倒的に物件数が多いので選択肢もグンと広がります。
そして、間取りや内装。新築はすでに設計された状態で販売されるため、間取り変更は困難。また、仕上げ材はある程度選べますが、とても限定的です。一方リノベーションなら、中古物件を単なる「箱」として考え、暮らす人のライフスタイルに合わせて自由にレイアウトやデザインすることができます。